外国人労働者への安全衛生教育

 宮城県名取市内の食品メーカーの工場において、2016年6月、アルバイトのネパール人留学生が右腕切断の大怪我をする事故がありました。仙台労働基準監督署は、2017年12月14日、当該食品メーカーと当時の工場長を労働安全衛生法違反の疑いで仙台地方検察庁に書類送検しました。

1.労働安全衛生法
 労働安全衛生法は、労働基準法と相まつて、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています(同法1条)。
 外国人労働者は、日本語の知識が不足し、労働災害を誘発する蓋然性が高い危険業務に従事していることを十分に理解せずに業務に従事するおそれがあります。特に、留学生においては、その傾向が顕著となります。
 よって、外国人労働者(留学生を含む)を雇用する会社は、母国語での説明やマニュアル等を整備し、安全衛生の周知を図り、労働災害を未然に防止し、外国人労働者の安全と健康を確保する必要があります(同法1条)

2.雇入時の安全衛生教育
 法は、事業者は労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない旨規定します(労働安全衛生法59条)。
 又、事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない旨規定します(同法施行規則35条)
 1号  機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
 2号  安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
 3号  作業手順に関すること。
 4号  作業開始時の点検に関すること。
 5号  当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
 6号  整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
 7号  事故時等における応急措置及び退避に関すること。
 8号  前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

3.雇入時の健康診断
 法は、事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない旨規定します(同法66条)。
 又、事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない旨規定します(同法施行規則43条)。
 1号  既往歴及び業務歴の調査
 2号  自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 3号  身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
 4号  胸部エックス線検査
 5号  血圧の測定
 6号  血色素量及び赤血球数の検査
 7号  GOT、GPT、γ―GTPの肝機能検査
 8号  LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド量の血中脂質検査
 9号  血糖検査
10号  尿中の糖及び蛋白の有無の尿検査
11号  心電図検査

4.健康診断の費用負担
 法は、事業者に対し、労働者を雇い入れるときの健康診断を行わせる義務を課している以上(同法66条)、健康診断の費用は、事業者が負担すべきものとなります。