外国人の「サイン」/戦国武将らの「花押」 自筆証書遺言の押印の有効性

 民法968条第1項は、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない旨規定します。
 ここで、古来戦国武将らがサインとして使っていた花押によって遺言書が作成された場合、花押が押印として認められるかが問題となります。
 最高裁は6月3日、「花押は押印とは認められない」として、遺言書は無効とする判断を示しました。花押が「書く」もので「押す」ものではないとし、重要な文書は署名、押印して完結させる慣行が我が国にはあると判断し、花押は民法上の押印の要件を満たさないと結論づけました。
 この点、外国人のサインは、押印として認められるのか否か問題となります。

(外国人がサインした自筆証書遺言)
 最高裁は、日本に帰化した元ロシア人が、遺言書に印をつけずサインのみとしたことについて、約40年間日本に在住したが、主にロシア語と英語を使用して欧州式の生活様式で過ごしていることから、遺言書は有効であるとし、サインを押印として認めています(昭和48年最高裁第3小法廷)。従って、外国人が、主に日本語を使用して日本式の生活様式で過ごした場合は、自筆証書遺言のサインは無効とされるおれがあります。

(外国人の署名捺印及無資力証明に関する法律)
 外国人の署名捺印及無資力証明に関する法律第1条は、法令の規定により署名、捺印すべき場合においては、外国人は署名することをもって足りる旨規定します。同条2項は、捺印のみをすべき場合においては、外国人は署名することをもって捺印に代えることができる旨規定します。

(公正証書遺言)
 自筆証書遺言は、記載方法等によって有効性に疑義が生じるおそれがありますので、公正証書にて遺言を作成させることをお勧めいたします。