外国人の母国親族の扶養控除手続き(年末調整)

外国人の母国親族の扶養控除手続き(年末調整)

年末調整は、12月末の年最後の給与・報酬の支給時期に実施されます。雇用者である会社側は、税務署から送られてくる年末調整関連の書類が届くと手続きの準備を始めます。日本で労働・会社経営する外国人の中には、母国の家族に海外送金をして生活費の仕送りする人が大勢います。所得税法に規定する扶養の範囲は、同居していなくても生計を一にしている国外に居住する6親等内の血族及び3親等内の姻族と広い範囲で認められていますので、忘れずに扶養控除等の適用を受けてください。

(所得税法2条1項34号)
扶養親族とは、居住者の親族と生計を一にするもののうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう。
「親族」とは、6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます(民法第725条)。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、①勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合、②常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合、③親族が同一の家屋に起居している場合(明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除く)は、いずれも「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

(扶養控除の手続)
国外居住親族に係る扶養控除、配偶者控除等の適用を受ける場合には、給与等の源泉徴収において、その適用を受ける旨を扶養控除等申告書等に記載した上で、その申告書等に親族関係書類を添付して源泉徴収義務者(勤務先)に提出してください。

(連れ子の場合)
外国人と再婚したときの連れ子(定住者)は、一親等の姻族に該当しますので、生計を一にしていれば扶養控除の対象となります。

(健康保険の被扶養者について)
生計を維持する外国人が日本にいる妻子等を被扶養者とすることは、日本人の場合と同様です。一方、生計を維持する外国人が母国に居住する外国籍の家族を健康保険の被扶養者とすることは、健康保険協会・年金事務所が被扶養者の認定をすれば可能となります。なお、日本の健康保険証は、原則として外国では使用できませんが、①被扶養者が海外で立替払いした医療費を健康保険で負担してもらえる。②短期滞在で来日した妻子等が日本の医療機関で治療する際に10割負担となるところを、小学校入学前が2割、小学校入学後~70歳未満が3割、70歳以上が2割と少ない負担で日本の医療機関を受診できる。といった利点があります。

扶養手続は、「被扶養者異動届」を健康保険協会支部や健康保険組合に提出し、夫婦や親子間で姓が異なる国の場合、母国政府が発行する結婚証明書(Marriage certificate)や出生証明書(Birth certificate)と日本語訳を添付します。

(健康保険法第3条7項)
「被扶養者」とは、次に掲げる者をいう。
① 被保険者の直系尊属、配偶者(内縁を含む。)、子、孫及び弟妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの(同居、別居を問わない「国外居住可」)
② 被保険者の3親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの(同居限定)
③ 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの(同居限定)
④ 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの(同居限定)

●収入要件(昭和52年4月6日付旧厚生省保険局長通達)
1 被扶養者としての届出に係る者が被保険者と同一世帯に属している場合
 ① 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとすること。
 ② 前記①の条件に該当しない場合であっても、当該認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、当該世帯の生計を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないこと。

2 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合
 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上である場合又は概ね厚生年金保険法による障害年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合には、原則として被扶養者に該当する者とすること。

3 上記1及び2により被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、その具体的事情に照らし最も妥当と認められる認定を行うものとすること

(外国人が船員の場合)
外国人が船員の場合、船員保険法が適用となりますが、被扶養者の範囲、収入要件は、健康保険法と同じです(船員保険法2条9項、昭和52年4月6日付旧厚生省保険局長通達)