富裕層対象の「出国税」 7月1日から適用

富裕層対象の出国税

 7月1日から国外に居住地を移す富裕層に対し、株式などの含み益に課税する「出国税」が導入されます。出国税は、国内に5年以上居住していた人が海外に移住する場合、株式や投資信託などの有価証券、デリバティブ取引といった金融資産に対し、転出時に資産の含み益に特例的に課税する制度です。現在の税法では、未実現利益については原則として課税されず、株式などを売却して実際に譲渡益が出た場合にのみ課税されます。そして、日本に居住していない場合には、居住国で課税されるため、原則として日本においては課税されていません。
 しかし、出国税の導入後は、出国時に有価証券等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算します。 出国税は株を保有したまま国外に転出する際に、実際に株を売却していなくても、売却したものとみなしてキャピタルゲインに国税分15%を納めなければならなくなります。ただし、対象者となるのは、有価証券等の資産の合計額が1億円以上である者で、出国の日前10年以内に居住者である期間の合計が5年超である者に限られます。出国税は含み益を課税対象とするため、納税資金が不足するおそれがあるため、出国から5年間は納税を猶予することができるようになっており、納税猶予は申請により10年まで延長することができます。 
 導入する背景には、租税条約上、キャピタルゲインに対する課税権が居住国にあることにあります。これを利用して、日本から富裕層が巨額の含み益を持ったまま、キャピタルゲインへの課税が非課税の香港やシンガポール等に移住し、課税逃れをするケースが散見されるといるからです。今年1月からは、所得税の最高税率は40%から45%、相続税も50%から55%に上がりました。さらに、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)の導入で、資産と所得が把握され、富裕層向けの徴税が強化されています。