遺族年金の支給対象者拡大へ(外国人の遺族年金)

 政府は10日、現在は母子家庭に限られている遺族基礎年金の支給対象を父子家庭にも拡大する政令を閣議決定しました。平成24年に成立した改正国民年金法は、死亡した妻の収入で生計を立てていた夫と子にも遺族基礎年金を支給するよう定めており、今年4月から施行されます。法改正では、遺族基礎年金の支給対象を定めた国民年金法第37条に規定する「妻」を「配偶者」に変更しました。
 したがって、外国人男性が日本人女性である生計維持者に扶養されている場合でも、遺族年金受給対象者となりましたので、国際結婚した外国人配偶者にとっても重要な法改正です。

(改正の趣旨)
 従来、国民年金法は、夫を「生計維持者」と一律に規定し、夫が死亡し妻が専業主婦又は共働きで妻の年収が850万円未満に限り、遺族基礎年金を支給していました。そのため、母子家庭に限定するのは、性別による差別との声がありました。
 しかし、厚労省は生計維持者の死亡により残された家族の生活困窮を防止する遺族年金の趣旨に鑑み、扶養を受ける「3号被保険者」が死亡した場合は、一律に対象外としていました。一方、昨年11月から一般の意見を募る手続きを進めたところ、全国社会保険労務士会連合会などから「不公平が生じる」との批判が続出しました。その理由は「3号被保険者」は専業主婦とは限らず、本来家計を支えた夫が病気で仕事を辞め、一時的に妻に扶養された夫が死亡した場合には、遺族年金の支給が認められないからです。すなわち、会社員時代に得た受給権を奪ってしまうのです。
 そこで、法は、妻が死亡した場合でも、夫と子に遺族基礎年金が支給される拡大案を採用しました。

(外国人配偶者の遺族基礎年金)
  国際結婚した日本人が死亡した場合、日本人との間に子がいること、かつ扶養されていた外国人の在留資格が「永住者」「定住者」の身分系、または国民年金法上の生計維持関係者の認定に該当する「国際業務」「技術」等の就労系の在留資格を有する者であれば、日本に在留しながら遺族基礎年金を受給できます。一方、在留資格が「日本人の配偶者等」の場合、子の扶養を理由に「定住者」に変更許可が認められ、あるいは就労系の在留資格に変更許可が認められれば、日本に在留しながら遺族年金を受給できます。仮に、母国に帰国した場合でも、子がいる等の要件を満たせば、外国に在住しながら受給できます。

1. 遺族基礎年金(国民年金)では、生計維持者が死亡した場合、子(原則18歳の年度末まで)のいる妻か子に支給されます(国民年金法37条の2第1項1号)。すなわち、子供がいるのを条件としています。

2 日本人が年金に加入していれば、外国人配偶者の国籍、在留資格を問わず、遺族年金は支給されます(国民年金法には、国籍・在留資格の規定なし)。

3. 外国人配偶者の居住地が日本国内又は海外でも、遺族年金を受給できます。支給額は居住地がどこでも同一額となり、海外送金の通貨は、通常アメリカ・ドル(USD)で支払われます。

4. 外国人配偶者は再婚しない限り、遺族年金が支給されます。遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する(国民年金法第40条1項)。 死亡したとき(1号)。 婚姻をしたとき(2号)。 養子となつたとき(3号)。

5. 外国人配偶者が収入を得るようになった場合でも、年収850万円を超えない限り、遺族年金は支給されます。生計維持者の認定は、厚生労働大臣の定める者とする(国民年金法施行令第6条の4)。厚生大臣が定める者は、年額850万円とし、平成6年11月9日から適用する(平成6年10月8日/厚生大臣)。

(以下は、遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金の違いです。)
 遺族基礎年金(国民年金)では、生計維持者が死亡した場合、子(原則18歳の年度末まで)のいる妻か子に支給されます(国民年金法37条の2第1項1号)。すなわち、子供がいるのを条件としています。
 一方、遺族厚生(共済)年金では、子のない妻でも受給できます。これは遺族基礎年金と異なるため、差別規定といわれています。ただし、30歳未満は5年間の有期年金となります(厚生年金法第63条1項第5号)。また、夫にも支給され、妻の死亡時に55歳以上なら60歳から受給できます。