入管法改正(新在留管理制度)による子供の不就学懸念

入管難民法改正に伴う新たな外国人の在留管理制度の7月開始を控え、教育現場に不安が広がっている。在留資格がない子どもが不就学に陥る懸念が高まっているからだ。新制度では外国人登録を廃止。このため在留資格がなくても自治体に外国人登録することで学齢期の子どもに届いた就学通知がなくなる。政府はこれまで同様、在留資格がない子どもを学校に受け入れる方針だが、関係者は「不就学が確実に増えるだろう」と指摘している。

 現行制度では、各市町村が管内に住む外国人の住所、氏名などを記した外国人登録原票を保管し、現住所の証明や人口調査などを行っている。在留資格がなくても登録でき、オーバーステイの外国人も、子どもの就学のために外国人登録をするケースが多かった。

 改正後は、在留資格があれば法務省入国管理局(入管)が在留カードを交付し、住民票が作成される。だが、全国で7万人超とされる在留資格がない人たちの情報を把握する行政機関は、なくなる。「これらの人々は、法的にいないことになり、存在が地下化する」と懸念の声も上がる。

 日本が批准する「国際人権規約」と「子どもの権利条約」は、在留資格に関係なく学齢期のすべての子どもに教育を受けさせることを締約国に求める。このため現在、在留資格がない子どもも学校に通えている。新制度でも「すべての子に(学習権を)保障するということは、これまでと変わらない」と、文部科学省の担当者は明言する。

 だが、就学通知がなくなることで不就学児の増加を予想する関係者は多い。

 親は(入管への)通報が怖くて学校に通わせられないだろう。また、在留カードがないので受け入れないと、安易に考える教育委員会が出ることもあり得る。就学率を上げるには、「通報はしない」と明言し、さまざまな言語で就学を促す告知をする必要があるとする。

 本人や親が外国籍という生徒が3割以上を占める横浜市立中学校の校長は「入学通知は出したほうがいい。地域でぽつんとしている子を減らすためにも、積極的に教育を受けさせてほしい」と期待。一方、オーバーステイの子を受け入れた場合の公的機関としての通報義務について悩む横浜市立小学校校長もいる。

 入管は、不就学児増の懸念について「ルールを守ってもらうのが前提だが、就学自体はこれまで同様の扱いだということにつきる」(参事官室)と言葉は少ない。通報義務については「通報で守られるべき利益と、職務が円滑に遂行できるかを比べて、自治体が判断する。経験上、学校からの通報はこれまでない」(警備課)と話している。

 ◆新在留管理制度 日本に在住する外国人の情報を継続的に把握し、適法に在留する外国人の利便性を向上させるためなどとして、2009年7月に公布された改正入管難民法に基づき7月9日に開始。在留期間の上限を5年に延ばすほか、在留資格を持つ中長期滞在者に在留カードを発行し、それを基に市町村で住民票が発行される。