永住外国人は生活保護の対象(福岡高裁)

福岡高等裁判所は15日、大分市が2008年12月に永住資格を持つ中国籍女性の生活保護申請を却下した事案につき、市の却下処分を取消す判決を下した。
古賀裁判長は、「永住資格を持つ外国人は日本人と同様の待遇を受ける地位が法的に保護されている」と、その判決理由を述べている。

なお、外国人に関しては、旧厚生省が1954年に出した「外国人に生活保護法を準用する」との通知に基づき、各自治体で生活保護法の適用の有無を判断しており、現状、多くの永住外国人が生活保護を受けている。
しかし、彼らが生活保護を受ける権利については、厚労省の運用で認められており、いまだ法的権利という形では明確に保障されていない。

1.憲法と生活保護との関係

生活保護制度は、生存権を保障する憲法第25条を根源とするものであるが、憲法第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定していることから、生活保護法も日本国民のみを対象としている。

2. 生活保護法
第1条 この法律は、日本国憲法第25条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

このように、生活保護法では、第1条で、生活保護の対象を「国民」に限定している。

■厚生労働省における一定外国人への生活保護適用

厚生労働省では、適法に日本に滞在し、活動に制限を受けない永住、定住等の在留資格を有する外国人については、国際道義上、人道上の観点から、予算措置として、次の要件を満たしている外国人に対して生活保護法を準用している。

(1)  出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第2の在留資格を有する者(永住者、定住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等)
(2)  日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の特別永住者(在日韓国人、在日朝鮮人、在日台湾人)
(3)  入管法上の認定難民

今回の福岡高裁の判例によって、厚労省における一定外国人に対する生活保護の適用は、適法と再確認された。

なお、入管法5条には、「貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者(1項3号)は本邦に上陸することができない」の規定があるため、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等における日本人及び永住者の扶養者側が生活保護を受けている場合、在留資格認定証明書による配偶者の本邦入国は困難となります。