洪水の日系企業タイ人労働者 日本短期就労へ

藤村官房長官は28日午前の閣議後の記者会見で、タイの大洪水を受け、現地の日系企業が日本に生産拠点を移転する場合、タイ人従業員を一時的に国内に受け入れる意向を表明した。

 日本では、外国人の単純労働者の就労目的での入国を原則認めていないが、日系企業のタイ人労働者については、〈1〉日本の雇用を脅かさない〈2〉現地工場が操業すれば帰国する——との条件で、熟練労働者以外の単純労働者の入国も認める。外務、法務両省は、最長6か月の在留資格を認める方向だ。入国に必要な査証(ビザ)発給の手続きも大幅に短縮する。

 一方、経済産業省は28日、被災した日系企業で働くタイ人技術者1300人を対象に、日本国内で研修してもらうための補助事業を行うと発表した。操業再開までの期間に来日し、日本語の研修や製造現場での実地研修などを受けてもらう。国は、タイ人技術者の日本での研修に費用の4分の3程度を補助する。

日本政府が決定した特別ビザの発給条件には、◇日本人の雇用を圧迫しないこと◇事業所名・所在地・業務内容・個人氏名を特定すること◇配偶者などの家族帯同は不可◇受入企業が確実な帰国担保措置を取ること◇日本の税・社会保障・労働関係法令に順守すること◇受入企業が日本国内で同様の業務を担う従業員を過去3年以内に大量解雇(1カ月に30人以上)していないこと◇労働者受け入れに伴い日本側の従業員を1年以内に解雇しないこと——などが盛り込まれた。

法務省入国管理局の担当者は、ビザ発給までの手続きについて、「具体的な発給基準や必要書類は31日以降に公表する。詳細を詰めている段階だ」と説明。ただ、発給までの手順としては、日本の受入企業側が、各地の入国管理局に必要書類を提出。審査が通った場合、在タイ日本大使館でビザ申請する見通し。

ビザ発給までに要する時間としては、「緊急措置なので、迅速に対応する予定だ」と指摘した上で、「各地の入国管理局で受け入れに伴う必要書類などを含めて相談してほしい」と述べた。発給枠に上限は設定していないが、在留期限の延長は現在のところ認めない方向で調整しているという。

パナソニック電工やJVCケンウッド、トヨタ系の愛知製鋼がこの制度を利用する方針だ。検討中の企業も多く、対象は数千人規模とみられる。生産が止まっている間も現地の雇用を維持し、優秀な人材の流出を防ぐねらいもある。

短期の特別就労ビザは11月以降に発給する予定。