新着情報

年末年始の営業のご案内

謹啓、時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
弊所の年末年始の営業日は、次のとおりとなります。休業期間中、お客様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

休業期間 2019年12月28日(土) ~ 2020年1月5日(日)

詳細はこちら


事務所移転等のご案内

1.事務所移転について
 弊所は、平成31年3月11日付けをもって、下記の所在地に移転することになりました。
何卒ご高承の上一層のお引立てを賜りますようお願い申し上げます。
           記
(移転先)
〒981-0902
宮城県仙台市青葉区北根1-13-1 パークタワー台原3101号
電 話 022-341-5897
FAX 022-341-5898

2.申請取次業務の廃止について
 弊所は、平成31年3月11日付けをもって、申請取次業務(入国管理局への提出代行)を廃止することにしました。今後は、相談業務のみを行うこととしておりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。なお、現在ご依頼頂いておりますお客様の申請については、最後まで責任をもって対応させて頂いております。

詳細はこちら


改正入管法の概要(平成31年4月1日施行)

 外国人労働者の受け入れ拡大を図るべく新しい在留資格「特定技能」を創設した出入国管理及び難民認定法(以下「法」といいます。)改正案が、12月8日未明の参議院本会議で採決され可決成立しました。なお、法案の施行日は、平成31年4月1日からです(附則1条)。

1.改正の趣旨
 従来、法は、在留資格に「建設」「農業」等を規定しておらず、外国人が我が国において報酬を伴う活動をするには、原則として高い専門性を有する在留資格「医療」「法律・会計業務」「研究」等に限定していました(法2条の2、法19条、法別表1等)。
 一方、法は、外国人技能実習制度を採用し、建設、農業等について外国人技能実習生の受け入れを認めていました。
 しかし、技能実習法は、基本理念として労働力の需給の調整の手段として行われてはならない旨規定しているにもかかわらず(同法3条2項)、基本理念に反し、労働力の需給の調整の手段として技能実習制度が利用されているとの指摘がありました。
 そこで、法は、建設や農業等の特定産業分野の深刻な人手不足に対応し、一定の技能を有する外国人の受け入れ拡大を図るべく新しい在留資格「特定技能」を創設しました(改正法別表1の2)。

2.特定産業分野に限定
 新しい在留資格「特定技能」は、人材を確保することが困難な状況下にあり、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定める特定産業分野に限定されています(改正法別表1の2)。
 特定産業分野を規定した法務省令は、未だ規定されておらず、年明け頃に規定される予定です。
法務省が検討している分野は、介護業、外食業、建設業、ビルクリーニング業、農業、飲食料品製造業、宿泊業、素形材産業、造船船用工業、漁業、自動車整備業、産業機械製造業、電気等情報関連産業、航空業の14業種です。

3.在留資格「特定技能1号」
 新しい在留資格「特定技能1号」は、本邦において特定産業分野であって法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動ができます(改正法別表1の2第1号)。
 ここで「法務省令で定める相当程度の知識又は経験」と規定していますが、法務省令は未だ規定しておらず、年明け頃に規定される予定です。国会質疑の中で明らかとなった「相当程度の知識又は経験」には、日常会話程度の日本語能力試験及び各特定産業分野を所管する省庁が規定した特定技能評価試験を外国で実施し、合格することが必要とされています。当該試験は、中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、他1国(調整中)の8国において実施される予定です。
 ただし、技能実習生として3年以上の経験を有する者は、当該試験は免除される予定です。
 なお、在留資格「特定技能1号」の約半数は、在留資格「技能実習」からの変更を想定しています。

4.在留資格「特定技能2号」
 新しい在留資格「特定技能2号」は、本邦において特定残業分野であって法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動ができます(改正法別表1の2第2号)。
 ここで「法務省令で定める熟練した技能」と規定していますが、法務省令は未だ規定しておらず、年明けに規定される予定です。国会質疑の中で明らかとなった「熟練した技能」には、原則として在留資格「特定技能1号」を有する者を対象とし、更に高度の試験に合格することが必要とされています。例えば、建設業の現場監督等が該当します。
 ただし、政府は、在留資格「特定技能2号」に変更するための試験について数年間は実施しないことを明らかにしています。
 なお、衆議院法務委員会は、在留資格「特定技能2号」については、既存の専門的・技術的な就労資格と同様の高い水準の技能を求めるものとし、我が国の産業、雇用及び国民生活に与える影響に十分に配慮しつつ、熟練した技能を有する人材を外国人により確保することが真に必要な分野に限って受入れを行うなど、厳格な運用に努める旨決議しています(衆議院法務委員会附帯決議第3項)。

5.在留期間・永住許可・家族滞在
 外国人の在留期間は、在留資格に応じて法務省令に規定されています(法施行規則3条、法別表2)。
 しかし、今回の改正案に伴い、法務省は省令の改正案は示しておらず具体的な在留期間は不明ですが、山下法務大臣の国会答弁によれば、在留資格「特定技能1号」は5年の有期とし、在留資格「特定技能2号」は他の在留資格と同様に5年以後も更新することができる旨、検討するとしています。
 よって、在留資格「特定技能2号」を有する外国人の扶養を受ける配偶者又は子は、在留資格「家族滞在」により来日することができます(法7条の2)。又、当該外国人が原則として引き続き10年以上本邦に在留しているとき、永住許可申請をすることができます(法22条)。
 一方、在留資格「特定技能1号」を有する外国人は、在留期間が5年の有期であることから、配偶者又は子の「家族滞在」は認められず、永住許可申請もできません。

6.変更許可
 法は、在留資格「技能実習1号」イ又はロに係るものついては、本邦の公私の機関を変更することができない旨規定します(法20条1項かっこ書)。
 しかし、在留資格「特定技能」を有する者については、本邦の公私の機関又は特定産業分野を変更することが認められています(改正法20条1項かっこ書)。
 よって、在留資格「特定技能」を有する者は、特定技能の範囲内において勤務先を変更し、特定産業分野を変更することができます(同)。又、要件を満たせば他の在留資格に変更することもできます(法20条)

7.特定技能雇用契約書の作成
 労働基準法15条1項は、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない旨規定します。
 又、労働契約法4条2項は、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする旨規定します。
 労働条件通知書(雇用契約書)の書面的明示事項は、①労働契約の期間に関する事項、②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項、③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇等に関する事項、⑤賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項、⑥退職に関する事項となります(労働基準法施行規則5条1項1号乃至4号、同2項)。
 しかし、在留資格「特定技能」の活動を行おうとする外国人を雇用する者は、上記労働法令に加えて、契約期間が満了した外国人の出国を確保するための措置等、法務省令で定めた特定技能雇用契約を締結しなければなりません(改正法2条の5第1項)。そして、特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関は、特定技能雇用契約の適切な履行が確保されるものとして法務省令で定める基準に適合させなければなりません(同条3項1号)。法務省令は規定されておらず具体的な内容は不明ですが、国会質疑において山下法務大臣から「保証金の徴収等、悪質な紹介業者等が介在しないこと」「悪質な紹介業者には国内外の業者が含まれる」旨の答弁があったことから、在留資格認定証明書交付申請時において(法7条の2)、国内外の悪質ブローカーの介在の有無が特定技能雇用契約書によって審査されることになります。
 又、使用者は、労働者の国籍等を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない旨規定されています(労働基準法3条)。加えて、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇について差別的取扱いをしてはならない旨が法改正によって規定されたことから(改正法2条の5第2項)、重畳的に外国人労働者の保護を図っています。
 よって、特定技能雇用契約は、労働法令及び法務省令いずれの要件にも適合させなければなりません。なお、衆議院及び参議院の両法務委員会は、特定技能外国人が日本人と同等額以上の適正な賃金の支払を受け、公正な処遇を受けるよう、特定技能雇用契約の適格性を厳正に審査し、特定技能所属機関及び登録支援機関に対し、賃金の支払状況や支援の実施状況等についての監督を十分に行い、不正行為がったときは厳正に対処する旨決議しています(衆議院法務委員会附帯決議第5項、参議院法務委員会附帯決議第2項)。

8.特定技能所属機関
 改正法は、特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関(以下「特定技能所属機関」といいます。)は、特定技能雇用契約の変更、終了したとき、又は新たな契約の締結をしたとき等、所定の事項について出入国在留管理庁長官に対し、届け出なければならない旨規定します(改正法19条の18)。
 又、出入国在留管理庁長官は、特定技能所属機関に対し、特定技能雇用契約の適切な履行等のために必要な指導及び助言を行い(改正法19条の19)、報告、帳簿書類の提出命令、出頭要求、質問、立ち入り、検査し(改正法19条の20)、改善命令等をすることができる旨規定します(改正法19条の21)。
 なお、当該処分に違反又は拒否等をした者は、罰則の対象となります(改正法71条の3、同71条の4)

9.1号特定技能外国人支援計画の作成
 改正法は、特定技能所属機関は、法務省令で定めるところにより、外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成しなければならない旨規定します(改正法2条の5第6項)。
 上記法務省令は未だ規定されておらず詳細は不明ですが、法務省の資料によれば、①入国前の生活ガイダンスの提供、②外国人の住宅の確保、③在留中の生活オリエンテーションの実施、④生活のための日本語習得の支援、⑤外国人からの相談・苦情への対応、⑥各種行政手続についての情報提供、⑦非自発的離職時の転職支援、⑧その他となっています。

10.登録支援機関
 改正法は、特定技能所属機関は、適合1号特定技能外国人支援計画に基づき、1号特定技能外国人支援を行わなければなりませんが(改正法19条の22第1項)、他の者に当該支援の実施を委託できる旨規定します(同条2項)。
 当該支援業務を行う者は、申請書等を出入国在留管理庁長官に提出し(改正法19条の24)、手数料を納付し(改正法19条の23第3項)、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます(同条1項)。又、5年ごとに更新となります(同条2項)。ただし、一定の欠格事由に該当した場合、登録は拒否されます(改正法19条の26)。
 なお、登録支援機関は、事業協同組合、派遣会社、社会保険労務士法人、NPO法人等が想定されます。

11.出入国在留管理庁
 従来、入国管理局は、大臣官房、民事局、刑事局、矯正局、保護局、人権擁護局、訟務局とともに法務省の内部部局でした。
 しかし、近年、我が国を訪れる外国人が増加する中において、厳格かつ円滑な入国審査を両立し、増加する外国人に対する在留管理を的確に実施する必要が生じました。
 そこで、法務省は、入国管理局を「出入国在留管理庁」と名称変更し、公安審査委員会及び公安調査庁ともに法務省の外局としました(改正法務省設置法26条)。
 なお、出入国在留管理庁長官は、法務省の外局になったことに伴い、告示、訓令又は通達を発し(国家行政組織法14条1項2項)、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求め、並びに当該関係行政機関の政策に関し意見を述べることができることになりました(同法15条)。

12.永住許可申請の厳格化(附帯決議)
 参議院法務委員会は、本改正案に伴い、近年の我が国の在留外国人数の増加を踏まえ、在留外国人からの永住許可申請に対しては、法22条2項の要件の適合性について、厳格に審査を行う旨決議しました(平成30年12月8日参議院法務委員会附帯決議第10項)。
 附帯決議には法的拘束力はありませんが、政府(出入国在留管理庁)は当該決議を無視できず尊重することになっています。
 よって、改正法施行後(平成31年4月1日)は、申請人の在留資格の区分を問わず永住許可申請の審査の厳格化が想定されます。

詳細はこちら


永住許可申請(国益要件)の立証に伴う社会保険及び労働保険の遡及加入について

 外国人は、地方入国管理局から永住許可申請における立証資料として公的年金の保険料や労働保険料の納付記録を求められる場合があります。そこで、永住許可申請の国益要件について可能な範囲で充足すべく社会保険と労働保険の遡及加入についてご説明いたします。

1.永住許可申請における国益要件
 入管法は、永住許可申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる旨規定します(入管法22条2項)。
 ここで「日本国の利益に合すると認めたとき」(国益要件)は、納税義務等公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していることが要件の一つとなります(入国・在留審査要領第27節永住者・国益要件(イ))。
 国益要件の詳細は、情報公開されておりませんが、納税義務等公的義務には社会保険及び労働保険等の保険料納付義務が含まれると解します。
 よって、永住許可申請には、公的年金及び労働保険等の納付記録が要求される場合があります(入管法22条2項、入国・在留審査要領第27節永住者・国益要件(イ))。

2.厚生年金保険について
(1)厚生年金保険の適用事業所
 厚生年金保険法(以下「厚年法」といいます。)は、個人事業主で常時5人以上の従業員を使用するもの(厚年法6条1項1号)、法人の事業所又は事務所であつて、常時従業員を使用するものは適用事業所とする旨規定します(同項2号)。
 又、外国人労働者及び役員は、厚生年金保険の被保険者の資格を取得し(厚年法9条)、事業主は、保険料の半額を負担し(厚年法82条1項)、使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負います(同2項)。
 なお、厚生年金保険への加入と保険料納付義務は、事業主に課しているのであって、外国人労働者には課されていません(同項反対解釈)。

(2)年金記録の確認請求
 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、第18条第1項の規定(被保険者の資格の得喪の確認)による確認を請求することができることから(厚年法31条1項)、被保険者である外国人は、管轄する年金事務所に対し、公的年金の加入及び納付歴を確認すべく被保険者記録照会回答票及び被保険者記録照会(納付Ⅱ)(照会区分04)を請求することができます。

(3)年金未納がある場合
 当該外国人が被保険者記録照会回答票及び被保険者記録照会(納付Ⅱ)(照会区分04)を請求して年金を全額納付していた場合、特に問題はありません。
 しかし、当該外国人に年金保険料を納付していない期間があった場合、永住許可申請の国益要件に抵触するおそれがあります(入管法22条2項)。
 そこで、永住許可申請の国益要件について可能な範囲で充足すべく厚生年金保険について2年を限度として遡及加入することができます(厚年法92条1項)。

(4)厚生年金保険の遡及加入
 厚年法は、保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によつて消滅する旨規定します(厚年法92条1項)。
 当該規定は、国の保険料に係る徴収権は2年経過により消滅時効となる規定であるから、過去2年分の保険料を遡及して納付することが認められています。ただし、過去2年分の厚生年金保険料と健康保険料を一括して納付しなければなりません。
 なお、過去2年以上遡及して保険料を納付することもできますが、年金記録に反映されるのは2年分に限られますのでご注意ください。

(5)社会保険料の遡及納付を起因とする国民健康保険料の還付請求
 厚生年金保険における保険料の遡及納付(厚年法92条1項)は、厚生年金保険料の他健康保険料を併せた金額を一括納付しなければなりません。
 しかし、外国人が社会保険料を遡及納付した期間内において国民健康保険料を地方自治体に納付していた場合、保険料の二重負担が生じます。
 そこで、当該外国人は、二重負担を解消すべく国民健康保険料の還付を請求することができます(地方自治法231条の3第4項、地方税法17条)。
 ただし、社会保険の遡及加入の時期によっては二重負担が一部解消されない場合がありますのでご注意ください。詳細は次のとおりです。

(6)社会保険料の遡及納付の注意点
 健康保険法(以下「健保法」といいます。)は、健康保険料は、毎月、翌月末日までに納付しなければならない旨規定し(健保法164条1項)、保険料の遡及納付の消滅時効は2年とする旨規定します(健保法193条1項)。
 一方、国民健康保険法(以下「国保法」といいます。)は、保険料を確定する処分である賦課決定について、当該年度の初日(4月1日)を基準として年度単位で行うこととし(国保法76条の2)、保険料還付の消滅時効は2年とする旨規定します(国保法110条)。
 すなわち、健康保険料は月を単位として2年遡及して納付できますが、国民健康保険料は4月1日を基準として年度を単位として還付されるために、社会保険の遡及加入の時期によっては二重負担が一部解消されない場合があります。
 よって、社会保険の遡及加入については、国民健康保険料の還付請求と併せて慎重に検討しなければなりません。

(7)事業主が保険料を源泉徴収したが国に納付しなかった場合(特例法)
 厚年法は、事業主は保険料の半額を負担し(厚年法82条1項)、使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う旨規定します(同2項)。
 しかし、事業主が外国人従業員から厚生年金保険料を源泉徴収しながら(厚年法84条1項)、年金事務所に納付しなかった場合、当該期間は年金記録に反映されず、又、遡及加入も2年前までに制限されることから(厚年法92条1項)、外国人従業員の年金記録に不利益が生じます。
 そこで、法は、社会保障審議会が、事業主が外国人従業員から厚生年金保険料を源泉徴収しながら、年金事務所に納付したことが明らかでないと認定した場合、年金事務所は年金記録を訂正し、年金額に反映させることができる旨規定します(厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律1条)。従業員を救済する趣旨です。

(8)国民年金の遡及加入(個人事業主の外国人の場合)
 在留資格「経営・管理」を有する外国人であって、法人を設立せずに個人事業主として活動し、従業員が5人未満の者は、厚生年金ではなく国民年金法(以下「国年法」といいます。)第1号被保険者に該当し(国年法7条1項1号、厚年法6条1項1号、同2号)、国民年金の保険料納付義務を負います(国年法88条1項)。
 しかし、当該外国人が国民年金の保険料を納付していない期間があった場合、永住許可申請の国益要件に抵触するおそれがあります(入管法22条2項)。
 そこで、永住許可申請の国益要件について可能な範囲で充足すべく過去2年分の保険料を遡及して納付することが認められています(国年法102条4項)。
 なお、例外的に過去5年分の保険料を遡及して納付することができた後納制度は、平成30年9月30日をもって終了しました(附則(平成26年6月11日法律第64号)第10条1項)。

3. 労働保険について
(1)国益要件の立証資料
 永住許可申請における国益要件の納税義務等公的義務には、労働保険料の納付義務等が含まれると解されることから(入管法22条2項、入国・在留審査要領第27節永住者・国益要件(イ))在留資格「経営・管理」を有する外国人が永住許可申請をしたとき、地方入国管理局から労働保険の概算・確定保険料申告書及び領収証書の各写しが要求される場合があります(同)。

(2)労働保険の概要
 法は、労働者を使用(雇用)する事業を適用事業とする旨規定します(労災法3条1項、雇用保険法5条1項)。
 在留資格「経営・管理」を有する外国人が、労働者(国籍を問わず)を使用(雇用)する事業をしている場合、労働保険の適用事業に該当します(同項)。
 又、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」といいます。)は、当該適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立し(徴収法3条、同4条)、保険関係の成立の届出等を政府に届け出なければならない旨規定します(徴収法4条の2)。
 そして、事業主は、保険年度ごとに労働保険料をその労働保険料の額等を記載した申告書に添えて、その保険年度の6月1日から40日(7月10日まで)以内に前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付する年度更新を行います(徴収法15条、同19条)。

(3)労働保険に未加入の場合
 当該事業所が労働保険に加入し、労働保険の概算・確定保険料申告書及び領収証書写しを提出できる場合、特に問題はありません。
 しかし、当該事業所が労働保険に加入していなかった場合、永住許可申請の国益要件に抵触するおそれがあります(入管法22条2項)。
 そこで、永住許可申請の国益要件を可能な範囲で充足すべく労働保険について2年を限度として遡及加入することができます(徴収法42条1項)。

(4)労働保険の遡及加入
 徴収法は、労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によつて消滅する旨規定します(徴収法42条1項)。
 当該規定は、国の保険料に係る徴収権は2年経過により消滅時効となる規定であるから、過去2年分の労働保険料(労災保険料と雇用保険料)を遡及して納付することが認められています。ただし、過去2年分の労働保険料を一括して納付しなければなりません。
 なお、過去2年以上遡及して保険料を納付することもできますが、失業給付等に反映されるのは2年分に限られますのでご注意ください。

詳細はこちら


フィリピン大使館におけるレッドリボン認証(Authentication)の留意及び改正点

1.はじめに
 フィリピン人労働者の入国手続は、在日フィリピン大使館のレッドリボン認証が必要とされるなど事務的負担が多く複雑です。レッドリボン認証等の取得については、具体的に記載した文献等がなく、一部の実務経験者の経験則に基づき行われてきました。そこで、誰でも容易に理解ができるように、以下のとおり記載しました。記載内容について瑕疵がございましたら何卒ご了承下さい。

2.フィリピン人労働者の入国手続について
(1)レッドリボン認証(Authentication)
 入管法(以下「法」といいます。)は、原則として本邦に上陸しようとする外国人は、在留資格認定証明書の交付後(法7条の2)、日本国領事官等から査証(法6条)、入国審査官の審査(法7条)、旅券に上陸許可の証印を受けなければならない旨規定します(法9条)。
 しかし、申請人がフィリピン共和国の国籍を有する場合、在留資格認定証明書の交付後(法7条の2)、英文雇用契約書(Labor contract)について公証人の外国文認証、法務局長の公証人署名の証明及び外務省領事局担当官の公印確認が必要となります。又、当該手続後、在日フィリピン大使館の領事認証(Authentication)、いわゆるレッドリボン認証も必要となります。なぜなら、当該認証がなければ、フィリピン共和国の国内手続であるフィリピン海外雇用庁(POEA)における海外雇用証明書の発行申請が認められないからです。
 よって、フィリピン人労働者の入国手続は、在日フィリピン大使館のレッドリボン認証等が必要となる点に留意しなければなりません。

(2)認証が必要となる理由
 外国公文書の認証を不要とする条約(以下「ハーグ条約」といいます。)は、外交官又は領事官による外国公文書の認証を不要とすることを目的とし、各締約国は、自国の領域において提出される文書でこの条約の適用を受けるものにつき、認証を免除し(同条約2条)、署名の真正、文書の署名者の資格等の同一性の証明として要求することかできる唯一の手続は、当該文書を発する国の権限のある当局による証明文の付与し(同条約3条)、当該認証に係る証明文は、文書自体又は補箋(アポスティーユ)に記載する旨規定します(同条約4条)。
 我が国は、ハーグ条約について1970年に批准し、同年7月27日に発効しています。我が国の外務省からアポスティーユを取得すれば、ハーグ条約に加盟する他国に公文書等を提出する際、当該在日外国大使館等の領事認証が免除されます(同条約2条、3条、4条)。
 しかし、フィリピン共和国は、ハーグ条約に加盟しておらず、非加盟国のフィリピン共和国に公文書等を提出する場合、在日フィリピン大使館の領事認証は免除されません(同条約2条)。
 よって、英文雇用契約書は、在日フィリピン大使館の領事認証が必要となります。

(3)公印確認が必要となる理由
 我が国の外務省は、ハーグ条約非加盟国のフィリピン共和国に提出する公文書等についてアポスティーユができず(同条約3条、4条)、その代わりに公印確認を行っています。
 又、フィリピン共和国は、在日フィリピン大使館の領事認証を行う前提として、外務省の公印確認を要求しています。
 よって、英文雇用契約書は、外務省の公印確認が必要となります。

3.英文雇用契約書(Labor contract)について
(1)準拠法
 フィリピン人労働者と日本企業との英文雇用契約書は、フィリピン共和国の労働法令か、或いは日本の労働法令を適用すべきか問題となります。
 国際間の準拠法を規定した法の適用に関する通則法7条は、法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法とする旨規定します。いわゆる「当事者自治の原則」です。一方、同法12条3項は、同法7条の選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する旨規定します。
 本件において、フィリピン人労働者と日本企業との雇用契約において、日本の労働基準法を準拠法とする合意がある場合、日本の労働基準法が適用されます(当事者自治の原則)。又、準拠法についての合意がない場合であっても、当該労働者の労働契約に最も密接に関連する地が日本であれば、日本の労働基準法が適用されます。
 よって、英文雇用契約書の準拠法は、日本の労働基準法となります(法の適用に関する通則法7条、同法12条3項)。

(2)記載事項
 労働基準法15条1項は、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない旨規定します。又、労働契約法4条2項は、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする旨規定します。
 労働条件通知書(雇用契約書)の書面的明示事項は、①労働契約の期間に関する事項、②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項、③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇等に関する事項、⑤賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項、⑥退職に関する事項となります(労働基準法施行規則5条1項1号乃至4号、同2項)。
 しかし、在日フィリピン大使館から英文雇用契約書の領事認証を受ける場合、上記書面的明示事項の他、口頭的明示事項である①退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項、②臨時に支払われる賃金、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項、③労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項、④安全及び衛生に関する事項、⑤職業訓練に関する事項、⑥災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項、⑦表彰及び制裁に関する事項、⑧休職に関する事項も記載すべきと解します(同1項4条の2号乃至11号)。なぜなら、在日フィリピン大使館は、書面的明示事項のみを記載した英文雇用契約書について領事認証しておらず、又、フィリピン海外雇用庁が作成した雛型は、自国の労働者を保護すべく概ね口頭的明示事項を含めた内容により作成されているからです。
 よって、英文雇用契約書の記載事項は、フィリピン海外雇用庁が作成した雛型に準じて口頭的明示事項も記載すべきと解します(同施行規則1項1号乃至11号)。

(3)署名と印鑑
 労働契約法4条2項は、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする旨規定します。一般的には、使用者が法人の場合、法人が契約当事者として法人の印鑑を押印します。
 しかし、印鑑制度は、日本や中国等の東アジアに限定された制度であって、欧米諸国は印鑑制度がありません。フィリピン共和国においても、印鑑制度がなく当事者の署名をもって意思の確認をしていることから、法人の代表者の署名をもって契約の締結をします。又、フィリピン海外雇用庁(POEA)は、フィリピン人労働者を国外で雇用する法人の代表者の登録を行っています。
 よって、英文雇用契約書には、使用者たる法人の代表者が署名し、代表者個人の実印を押印します。実印を押印するのは、公証人の外国文認証の際に必要となるからです。又、フィリピン人労働者の署名と証人2名の署名、認印を押印し、契印(外国人は署名)します。

(4)外国人の署名捺印及び無資力証明に関する法律
 労働契約法4条2項は、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする旨規定します。雇用契約書における労働者の署名捺印は、法律の規定はありませんが、一般的には、労働者が契約当事者として署名捺印をします。
 しかし、フィリピン共和国では印鑑制度がなく、フィリピン人労働者は捺印することができませんが、外国人の署名捺印及び無資力証明に関する法律1条は、法令の規定により署名、捺印すべき場合において外国人は署名することをもって足りる旨規定します。
 よって、英文雇用契約書への外国人の署名捺印は、署名することをもって足ります(同条)。

4.公証人の一括認証
 在日フィリピン大使館の領事認証には、前提として英文雇用契約書について公証人の外国文認証、法務局長の公証人署名の証明、外務省領事局担当官の公印確認が必要となります。当該手続は、原則として個別の手続が必要となりますが、東京都内、神奈川県内及び大阪府内の公証役場においては、例外的に一括認証(ワンストップサービス)を行うことが認められています。

5.レッドリボン認証(Authentication)の改正点
 従来、在日フィリピン大使館の領事認証には、①公証人の外国文認証、法務局長の公証人署名の証明、外務省領事局担当官の公印確認を受けた英文雇用契約書の原本及びその写し、②在留資格認定証明書の原本、③法人登記事項証明書及び英文の訳文、④レターパックが必要でした。
 しかし、在日フィリピン大使館の内規の改正によって、②③が不要となりましたが、フィリピン大使館に来庁した者の身分証明書写し(運転免許証写し等)の上部に氏名を手書きでローマ字表記したものが必要となりました。
 よって、在日フィリピン大使館の領事認証には、公証人の外国文認証、法務局長の公証人署名の証明、外務省領事局担当官の公印確認を受けた英文雇用契約書の原本及びその写し、身分証明書写し、レターパック510(受取人の住所氏名を記載)を提出し、手数料としてUS25ドルを支払います。約1週間後にレッドリボンで補箋された英文雇用契約書の原本が返送されてきます。

6.海外雇用証明書(OEC)の発行
 フィリピン共和国における出稼ぎ労働者の移動を管理する政府機関であるフィリピン海外雇用庁(POEA)の下部組織である雇用前サービス事務所(PSO)は、海外での就労を証明する海外雇用証明書(OEC)の発行を行っています。
 フィリピン人労働者が、就労ビザによって我が国に入国する場合、在留資格認定証明書の交付後(法7条の2)、当該証明書及びレッドリボン認証後の英文雇用契約書等を申請人に送付し、同人がフィリピン政府(POEA/ PSO)から海外雇用証明書(OEC)の発行を受けなければなりません。

詳細はこちら